「汗」

白川静『常用字解』
「形声。音符は干。体から出る“あせ”をいう。干はあるいは身幹(からだ)の意味を承けるものであるかもしれない」

[考察]
形声の説明原理をもたないのが白川漢字学説の特徴である。 干からの解釈がつかず、幹と関係があるかもしれないと言っているが、「あせ」と幹に意味上のつながりがあるとは思えない。
干はある種の武器から発想された語で、「突き進む」「突き犯す」というイメージがある(204「干」を見よ)。「あせ」に対するイメージを干という記号を用いて「干(音・イメージ記号)+水(限定符号)」を合わせた汗の図形でもって表現するのである。この図形は体内から皮膚の表面に突き犯すように出る水(体液)という意匠になっている。ただし図形的意匠は意味そのものではなく、意味を暗示させるものに過ぎない。意味はただ「あせ」である。