「管」

白川静『常用字解』
「形声。音符は官。管は竹の“くだ” で、孔を開けて楽器として使用する」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく、すべての漢字を会意的に説く。本項では官から説明できないので字源を放棄した。
言葉という視点、つまり語源の観点に立てば、管は官と密接な関係があり、管は官と同源の語であると言える。官は「丸く取り巻く」というコアイメージがある(211「官」を見よ)。古典漢語で笛に似た円筒形の管楽器をkuanという。これに対する視覚記号を管とした。官は「丸く取り巻く」というイメージをもつので、「官(音・イメージ記号)+竹(限定符号)」を合わせて、竹の節をくり抜いて、中空状の回りを丸く取り巻いた形にした楽器を暗示させる図形となっている。「くだ」(円筒形で中空のもの)の意味は楽器の名からの派生義である。