「簡」

白川静『常用字解』
「形声。音符は間(閒)。竹片を火に炙って平らかにし、薄い札状にしてその上に文字を書いたものを簡・竹簡といい、“たけふだ、ふみ”の意味となる」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく、すべて会意的に説く特徴がある。本項では間からの説明ができないので字源を放棄した。またコアイメージという概念がないから、意味の展開の説明に合理性がない。また、「竹簡に書くのは玉や帛に書くのに比べて手軽な書記の方法であるので、“はぶく”の意味となる」と述べているが、この意味展開の説明は場当たり的である。

形声の原理は語の深層構造に掘り下げる方法である。語のコアにあるイメージを捉えることが重要である。そうすれば造語法(語源)も造形法(字源)も意味の展開の諸相も合理的に説明できる。
簡の語源について古人は「簡は間なり。之を編み、篇篇に間(隙間)有るなり」(『釈名』)と語源を説いている。紙のない時代、竹や木の薄い札に文字を書いて綴り合わせた。綴り合わせる札を古典漢語ではkănという。これは間と同音である。綴る際、巻やすいように隙間をあける。この特徴を捉えて、「隙間があく」というコアイメージのある間を用いて(227「間」を見よ)、「間(音・イメージ記号)+竹(限定符号)」を合わせた簡という図形を作り、文字を書く竹の札を表した。
意味はコアイメージによって展開する。「隙間があく」というコアイメージから、間があいて込み入っていない(手軽である)意味(簡易・簡明)、間が省かれている(手を抜いている、大まかである)意味(狂簡)に展開する。