「艦」

白川静『常用字解』
「形声。音符は監。玉篇に“版屋の舟なり” とあり、船の上に版屋を設置して矢を防ぐ構造の船で、“軍船、いくさぶね”をいう」

[考察]
白川漢字学説では形声の説明原理がなく、すべて会意的に説くのが特徴であるが、本項では会意的に解釈できないので、字源を放棄した。
言葉の深層構造を掘り下げ、コアイメージを捉えるのが形声の原理である。艦は監にコアイメージがある。「一定の枠の中に収める」というのが監のコアイメージである(238「監」を見よ)。枠に焦点を置くと「枠をかぶせる」「枠で囲う」というイメージにも展開する。「監(音・イメージ記号)+舟(限定符号)」を合わせた艦は、敵の攻撃を防ぐために何重にも板囲いした舟、つまりいくさ船を暗示させる。
『三国志』に出る比較的新しい字であるが、古来の漢語の造語原理(語の作り方)、漢字の造形原理(字の作り方)に叶っている。イメージの類似したものを似た音形で呼び、似た図形を用いるのが古来のしきたりである。