「技」

白川静『常用字解』
「形声。音符は支。支に伎(わざ)・妓(うたひめ)の音がある。𢺵(キ)は人が身を傾けて歌舞などの演技をしている形で、左の偏の部分が傾く意味を示している。そのように身を傾けて手を“たくみ”に動かして演技すること、またその演技を“わざ”という」


[考察]
𢺵という特殊な字を持ち出したのは奇妙である。しかも 匕が傾く意味を示しているという。支は何かの説明がない。漢字を会意的に解釈するのが白川漢字学説の特徴であるが、支の説明ができないからAを持ち出したのであろうが、中途半端な字源説である。
『詩経』に、足を細かく動かして速く走る様子を表す語に伎伎キキがあり、これから手を細々とたくみに動かして細工をする手わざという意味が派生する。これを伎、ついで技と書くようになった。
支は幹に対するえだ(枝)のことで、「本体から細かく分かれ出る」というコアイメージがある(680「支」で詳述)。「支(音・イメージ記号)+手(限定符号)」を合わせた技は、手先を細かく動かして細工をする場面を設定した図形。この意匠によって、いろいろなことを上手に行う「手わざ」を表している。