「郡」

白川静『常用字解』
「形声。音符は君。君は古くは里君と呼ばれる村落の統治者で、その支配する地域を郡といったのであろう」

[考察]
白川漢字学説には形声の説明原理がなく、会意的に説くのが特徴である。だから里君と呼ばれる村落の統治者が支配する地域が郡であると解釈した。
「君」の項では巫祝の長が君の意味であると言っている。不統一である。
郡は行政区画の単位であって、支配者による地域の名称ではない。
形声の原理は言葉の深層構造に掘り下げ、語源的に意味を説明する方法である。古人は「郡は群なり」と語源を説いている。郡は群と同源であり、両者は君が深層構造に関わる基幹記号である。君は「全体をまとめる」というコアイメージがある(410「君」を見よ)。「君(音・イメージ記号)+邑(限定符号)」を合わせた郡は、多くの村や町をまとめた地域を暗示させる。
周代では県よりも小さな行政単位を郡といった。秦代になってから郡は県よりも大きな単位とされた。日本は本来の郡の用法を取り入れている。