「係」

白川静『常用字解』
「会意。系は呪飾として飾り糸を繫けることで、飾り糸を人に繫けるのは、何らかの関係をそれによって生み、繋ぎとめる意味であろう。係は飾り糸を人に結びつけてその人をつなぎとめるという意味があるので、関係・係累のように使う」

[考察]
系は明らかに音符だが、敢えて会意的に解釈する。系+人で、飾り糸を人にかけることとする。飾り糸を人にかけるとは何のことか。飾り糸を人にかけることが人との関係を繋ぎとめることになるのか。意味の展開が曖昧模糊として分かりにくい。
古典における用例を見てみよう。
 原文:虜人民、係其牛馬。
 訓読:人民を虜にし、其の牛馬を係(つな)ぐ。
 翻訳:人民を捕虜にし、彼らの牛馬を捕まえて[杭などに]つないだ――『荘子』則陽

係はAとBをつなぐ、あるいはAをBでつなぐという意味で使われている。この言葉を古典漢語でɦer(呉音ではゲ、漢音ではケイ)という。それを代替する視覚記号が係である。系は「一筋につながる」というイメージがある(420「系」を見よ)。「系(音・イメージ記号)+人(限定符号)を合わせた係はAをBにつないで一筋のものにする情景を暗示させる。限定符号は人の行為に関わることを示している。
意味は「一筋につながる」というコアイメージによって展開する。AとBをつなぐ意味が上記の意味。係船・係留の係はこれである。ついで、AとBをつないで引っ掛ける意味、AとBが何かの縁でつながる意味(関係の係)、人間関係が離れ難くつながる意味(係累の係)に展開する。